夜間頻尿の原因(夜何回もおしっこに起きて眠れない、睡眠不足だよと訴えてくる患者様は多いです)

夜間頻尿は加齢とともに増加し、60才以上では60%以上となります。

夜間頻尿の原因は、大きく分けて3つです。

1)夜間多尿・多尿 2)膀胱容量の減少 3)睡眠障害に分けられます。これらの3つの原因によって対処法が異なるので、まず原因を特定することが大切です。混合性のこともあります。

1)夜間多尿・多尿

 夜間多尿は夜間の尿量が多い状態です。加齢とともに心機能の低下、高血圧、動脈硬化などで日中の腎血流量が減り、昼間の尿量の低下を引き起こします。この昼間の尿量減少は下肢のむくみとして現れることが多いです。そのむくみが横になることで、夜間は腎血流量が増加し、夜間の尿量が増えます。高齢になると夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌低下が低下するのも一因です。夕方からの水分の取り過ぎも一因です。(脳梗塞などで水分を取り過ぎている方もいます。過剰に飲水しても血液の粘度に影響しないです)低酸素になると、夜間の頻回覚醒や頻尿が起きる事が分かっています。腎機能が低下すると尿を濃縮する力が低下し、また夜間の塩分排泄増加も起こり、夜間の尿量が増加すると考えられています。また、高血圧の薬(Ca拮抗薬)、利尿剤、口内乾燥を引き起こす副作用がある薬なども一因です。塩分の取り過ぎも一因です。糖尿病、尿崩症などで一日を通して尿量の多い状態(多尿)でも夜間多尿は起こります。

2)膀胱容量の減少

 一回あたり100ml排尿する人と一回あたり300ml排尿する人では当然排尿回数が変化します。一回に膀胱にたまる量が少なくなると、夜間尿量が同じでもトイレに行く回数が増えます。昼間の頻尿やおしっこが我慢できない等の症状のある場合、膀胱容量の低下が夜間頻尿を起こしている原因の可能性があります。膀胱容量の低下の原因は前立腺肥大症(男性の夜間頻尿の原因として最も頻度が高いです)、過活動膀胱(女性の過活動膀胱の方の40%に夜間2回以上の夜間頻尿が認められたということです)、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群、骨盤臓器脱、神経因性膀胱などの疾患があります。

3)睡眠障害

 高齢者では睡眠が浅く、分断されるため、覚醒しやすく、夜間頻尿になってしまいます。睡眠障害と夜間頻尿は表裏一体です。

アルコールを飲んで眠ると良く寝られたと言う方もいらっしゃいますが、アルコールを飲むと眠りやすくはなりますが、抗利尿ホルモンの分泌を抑制し、利尿をきたすため夜間の排尿量が多くなります。また睡眠が浅くなり、中途覚醒が起こりやすくなり、夜間頻尿の原因となります。

夜遅くまで、明るい光の下で起きている方はメラトニンが低下してきます。メラトニンが抑制されると夜間頻尿の原因となります。LEDは特にメラトニン分泌を抑制します。

メラトニンの血中濃度は年とともに低下します。夜間頻尿の患者さんでは更に低下しています。メラトニン濃度の低下により睡眠が浅くなり目が覚め、尿意があるとトイレに行くことになります。

*メラトニンとは、松果体から分泌されるホルモンです。体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。

不眠症、睡眠時無呼吸症候群、精神疾患、むずむず脚症候群、薬の副作用、アルコール、カフェインなどで起こります。

問診、診察

心臓病、糖尿病、高血圧、腎機能障害、睡眠障害、前立腺肥大症、過活動膀胱など現在治療している病気、そのために服用している薬、過去にかかった病気、健診結果、現在の排尿状態、水分、カフェイン、アルコールなどの摂取、尿漏れ、膣外に突出する骨盤臓器脱、下腹部の膨隆、下肢のむくみ、全身のむくみ等を確認していきます。

排尿日誌

排尿日誌とは、起床から翌朝までの排尿時刻や排尿量、尿漏れ、水分の摂取状況などを記録する日誌です。これらを記録することで、現在の排尿状態(尿量が多いのか、少ないのか、尿漏れはいつあるのか)や失禁タイプ、飲水量が多くないかなどを把握・推測することができます。

検尿

急性膀胱炎、前立腺炎、膀胱腫瘍、尿路結石などにより異常が出現します。

採血

糖尿病、電解質異常、心臓への負担、前立腺癌(PSA検査)があるかなどを確認します。

超音波検査

前立腺肥大症、膀胱腫瘍、尿路結石などがないか確かめます。また排尿後に残尿がないか確かめます。

尿流量検査

現在の排尿状態が正常か、排尿力に低下がないか、排尿時間はどの程度か、排尿パターンはどうかなどを確認します。

治療

夜間頻尿の時、日常生活で気を配ること

1.水分の取り過ぎに注意が必要です。1日の飲水量は体重の2~2.5%が奨められています。つまり体重60kgの方は1200~1500mlです。特に夕食後の水分の取り過ぎに注意してください。脳血管障害、虚血性心疾患、尿路結石などで、水分の取り過ぎをしている方がいます。

2.夕方に30分以上の散歩、軽い運動してください。

3.むくみ対策用の弾性ストッキングを日中はいておきます。朝起きてから夕方まで、持病がある人は医師に相談してからにしてください。日中に下肢にむくみが生じ、朝より夕方ではむくみのため5kg~1kgほど体重が増えて、夜間横になると血液量が増えて夜間多尿の原因となります。これを防ぐために着用が、奨められています。

4.足上げ:座布団などの上に足先が10~15cm上がるようにして仰向けになります。昼から夕方までの間に、30分を目安に行います。

6.日光に当たってください。(夜間のメラトニン分泌量が増加します)

7.減塩は重要です。

6.就寝時の保温が大切です。

7.就寝前のアルコール、カフェインは避けます。

8.寝る1~2時間前にお風呂に入る(40~41度で約20分間)

膀胱蓄尿障害(膀胱に尿をためておくことに関する障害)

前立腺肥大症、過活動膀胱、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群、骨盤臓器脱などに対する治療となります。

心不全、高血圧、慢性腎臓病、心因性多尿、尿崩症、口渇中枢の障害など

それぞれの病気に対する治療となります。

睡眠障害

睡眠に対する治療になります。睡眠時無呼吸症候群では持続陽圧呼吸療法により夜間頻尿が改善されます。

薬剤などによる副作用として夜間多尿となっている場合はその対策

デスモプレシン(ミニリンメルト)

上記の病気がない、または病気に対する治療を行っているにも関わらず夜間多尿がみられる方で男性の場合、デスモプレシンの投与が可能です。おねしょでも、デスモプレシンを使用しますが、投与量が違います。