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マダニにかまれて心配なのはツツガムシ病だけではありません。マダニ咬傷と肉(ほ乳類の肉)との関係は?
更新日:6月16日
AGさんは、仕事で野山にいくことが日常でした。そのため、マダニに何回もかまれたことがありました。かまれる度に、ツツガムシ病の心配をしていましたが、今までは、何事も起きていません。ある日、遅い夕食で豚肉をたらふく食べました。翌早朝起きてみると体中がかゆく、蚊に刺されたようなミミズ腫れができていました。
α-Gal syndrome(獣肉アレルギーの一つ)
α-Gal syndromeの原因は獣肉タンパク質に結合する糖鎖ガラクトース-α-1,3-ガラクトース(α-Gal)です。マダニにかまれることにより、マダニの唾液腺中にある糖鎖α-Galに対して過敏状態になり、よく似た構造をしている獣肉タンパク質に結合する糖鎖α-Galに反応してアレルギーを引き起こします。つまりマダニと肉には似ている物質があるということで、それに反応してしまうのです。獣肉を食べてすぐではなく、3~6時間後(遅発性)にじんましん、かゆみ、唇、顔、舌、喉、またはその他の体の部分の腫れ、息切れ、ゼーゼー、鼻水、くしゃみ、頭痛、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐。、アナフィラキシーなどが起きます。複数回のマダニの咬傷で起こりやすくなります。時間の経過とともに多くのダニに刺された人は、より重篤な症状を発症する可能性があります。
マダニ咬傷による経皮感作が原因となり、ウシやブタ、ヒツジ、ウマ、シカなどの赤身の肉、哺乳類から作られた製品(ゼラチン、牛乳、乳製品など)の摂取で主に発症します。鶏肉は問題ないです。カレイの魚卵にも 似た物質があるということです。また非常にまれですが、重度のα-Gal syndromeを持つ一部の人々は、特定のワクチンや薬の成分に反応する可能性があります。新しい薬を服用したりワクチンを接種したりする前に、医療提供者に相談してください。例えば抗悪性腫瘍薬、セツキシマブの初回投与でもアナフィラキシーショックを起こした報告があります。α-Galは、魚、爬虫類、鳥、または人には認められません。
犬を飼っている人が多いそうです。犬の散歩の時にマダニにかまれる可能性があります。血液型がA型、O型の人に起きます。B型、AB型の人は糖鎖構造がα-Galに似ているため起きないそうです。
予防
マダニ咬傷の回避により治癒します。
ダニに刺されないようにすることが予防の鍵です。樹木が茂った草地にいるときは、長ズボンと長袖のシャツを着用し、虫除けを使用して、ダニに刺されないように保護してください。外で時間を過ごした後は、全身のダニチェックを徹底的に行ってください。お子さん、ペットにダニがいないか、十分注意してください。
検査
特異的IgE検査 牛肉・豚肉、カレイ魚卵、セツキシマブ
保険適⽤外ですが、 α-Gal特異的IgE抗体が診断に有⽤です。
治療
抗アレルギー剤
気管支拡張剤
ステロイド剤
エピペン
*ツツガムシ病はOrientia tsutsugamushi を起因菌とするリケッチア症です。ダニの一種ツツガムシによって媒介されます。汚染地域の草むらなどで、ダニの幼虫に吸着され感染します。吸着時間は1~2日で、ツツガムシから人への菌の移行には6時間以上が必要です。潜伏期間は5~14日間(通常およそ1週間)です。症状は発熱、刺し口、皮疹が主要三徴候と呼ばれ、それぞれ約90%の患者で認められます。全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症します。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達します。刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹します。第3~4病日より不定型の発疹が出現します。顔、体に多く四肢には少ないです。重症になると肺炎や脳炎症状を来します。意識障害、多臓器不全、播種性血管内凝固を起こすこともあり、死に至ることもあります。