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唇が腫れています(何回もキスをすると腫れますか?)

更新日:9月24日

AEさんは、生理痛が起きたため、市販の痛み止めAを飲みました。ところが、唇が上も下も腫れてしまいました。また1ヶ月ほどたち、生理痛が来たため市販の痛み止めBを飲みました。また唇が腫れてしまいました。恐ろしくなって、クリニックに受診しました。安心して飲める安全な薬をだしてもらいました。


唇が腫れています(口唇腫脹)。原因は何でしょうか?


1)急激に腫(は)れて、数時間~1~2日で治る場合は以下の病気を考えます。

舌、口の中、のど、まぶたも腫れることがあります。


1.口腔アレルギー症候群ーーー果物や生野菜に含まれるアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)が、口の中の粘膜に触れて起こるアレルギー反応です。果物、野菜、ナッツなどを食べた後、数分から15分以内に唇や舌、口の中、のどにかゆみ、しびれ、むくみなどがあらわれる食物アレルギーの一種です。主に口の中でのみあらわれます。花粉症がきっかけになることが多いです。花粉症のアレルギーを起こす原因物質とよく似た物質が、果物などにあるためアレルギー反応を引き起こします。主に口の中でアレルギー反応を引き起こします。ラテックスアレルギーを持つ人も同様にバナナ、アボカド、キウイ、クリなどを食べた後、ラテックスアレルギーを起こす原因物質によく似たアレルギーを引き起こす原因物質がバナナなどにあるため、口の中にしびれ、かゆみなどを引き起こします。気管支喘息、薬剤アレルギー、即時型食物アレルギーなどをお持ちの方でも起こります。

口腔アレルギー症候群の症状の一つに血管性浮腫があります。


2.薬剤性(固定薬疹、血管性浮腫を含む):高血圧の薬、血栓溶解薬、鎮痛剤、抗生物質など



3.遺伝性血管性浮腫ーーー急に皮膚や粘膜が腫れたりむくんだりする病気です。 腫れやむくみは主に皮膚と消化管に起こります。主に生まれつきC1インヒビターというタンパク質の量が少なかったり、働きが弱かったりすることで起こります。10才代から外傷やストレスなどの契機で血管性浮腫を繰り返します。気道(空気の通り道)にむくみが起こると、かすれたような声になります。窒息する危険があることもあります。顔面、四肢のむくみは左右対称です。消化管に起こると急性のはらいたになります。また下痢したり、吐いたり、おなかがふくらんだりすることもあります。外陰部が腫れておしっこがでづらくなったりすることもあります。繰り返し起こることがあります。

4.日焼けなどの環境因子

5.虫刺されや刺傷など外傷


6.感染(2日以上かかることも、治療しなければ、なかなか治らないことも)ヘルペスウイルス(キスでパートナーに口唇ヘルペスを発症させることがあります) 、細菌性など


7.食物アレルギー:症状の一つに血管性浮腫があります。





2)特に誘引なく腫れてきて、1~2週間も続いている場合は以下の病気を考えます。


1.唇に塗っている、つけているもの、触れてしまうものによる刺激、かぶれ

  リップクリーム(過剰塗布、かぶれ)、口紅、化粧品、薬、歯磨き粉、楽器(フルート、オーボエ、トランペットなど)のマウスピースなど


2.感染

  口腔カンジダ症


3)特に誘引なく腫れてきて、1~2ヶ月も続いている場合は以下病気を考えます。


1.肉芽腫性炎症(にくげしゅせいえんしょう)原因不明

1.肉芽腫性口唇炎ーーー20才代によく起きます。特にうわくちびるの突然の腫れが起こり、数時間から数日持続します。再発を繰り返し、腫れが続くようになります。Melkersson-Rosenthal症候群は、肉芽腫性口唇炎、顔面神経麻痺、および舌が腫れ、しわがひどくなるのが特徴ですが、通常は1つまたは2つの症状しか現れません(症状の完全な3つ組は患者の25%でのみ発生します)。持続性の口腔内口内炎を伴う肉芽腫性口内炎は、クローン病を示唆している可能性があります。


2.サルコイドーシスーーーサルコイドーシスとは、全身のさまざまな場所にしこりができる病気です。典型的には若年女性に多く発症します。一般的な症状は、呼吸困難、空咳、胸痛、発熱、倦怠感、関節痛および体重減少です。口唇および口腔内の徴候には、口唇の腫脹または粘膜下腫瘤、孤立性丘疹または潰瘍が含まれることがあります。

3ローン病ーーー消化管に炎症・潰瘍(粘膜に傷がつき欠けること)が起こる病気です。主として若年者にみられます。口腔から小腸、大腸、肛門にいたるどの場所でも発症する可能性があります。時に口唇の腫脹が最も初期の症状で、次いで消化管症状(腹部のけいれんおよび痛み、吐き気、下痢、体重減少、栄養失調)が現れることがあります。時に皮膚、眼、関節を侵すことがあります。

クローン病ーーー消化管に炎症・潰瘍(粘膜に傷がつき欠けること)が起こる病気です。主として若年者にみられます。口腔から小腸、大腸、肛門にいたるどの場所でも発症する可能性があります。時に口唇の腫脹が最も初期の症状で、次いで消化管症状(腹部のけいれんおよび痛み、吐き気、下痢、体重減少、栄養失調)が現れることがあります。時に皮膚、眼、関節を侵すことがあります。


2.アレルギー

予想外のアレルゲンへの曝露継続


3.代謝性疾患

1.甲状腺機能低下症

2.先端巨大症 


4.自己免疫疾患

1.扁平苔癬ーーー 粘膜に生じる扁平苔癬は、口唇、口腔粘膜に多いです。陰部にも生じますが。癌化する確率は1~3%と言われています。誘因因子として薬剤内服歴 C型肝炎の既往、歯科金属アレルギーなどがあります。

 

2.円盤状エリテマトーデスーーー 紫外線が発症、誘発因子になります。日光があたる下唇に好発します。光線暴露歴 頭部に隣接を付着する萎縮性紅斑、扁平上皮癌の発生母地となります。


5.悪性、悪性変化を考えなければいけないもの


1.光線性口唇炎ーーー紫外線によって誘発される唇の炎症、紫外線の強い春から秋にかけて悪化します。経過は長く、小児期より生じ冬でも症状はあります。日光が当たる下口びるに強く出ます、前癌状態です。屋外業務:農業、漁業などにおおいです。


2.有棘細胞癌(扁平上皮癌)ーーー高齢者の日光が当たる部位(顔面、手など)に単発します。7、8、9から移行することも


3.悪性リンパ腫ーーー悪性リンパ腫は、リンパ系の組織から発生する腫瘍(いわゆる“がん”)です。50歳以上の中高年齢者に発生することが多いです。リンパ節に生じるものが大部分を占めリンパ節以外に生じるものは頻度が少ないです。口唇部はまれです。


6.忘れてはいけないもの

梅毒ーーー唇の一部にかたいしこりがあったときに、忘れてはいけない病気は梅毒です。スピロヘータ科トレポネーマ属の細菌、梅毒トレポネーマによる性感染症です。感染機会(性交、フェラチオ、キスなど)があってから10~90日の潜伏期間を経て第1期梅毒(一次病変形成)が発症します。梅毒トレポネーマの侵入部位(皮膚や粘膜)に大豆大までの軟骨様の硬いしこりができます。これを初期硬結と呼びます。単発であることが多く、暗赤色、無痛です。男性では亀頭、包皮、女性では大小陰唇、子宮頸部に好発します。唇、手、肛門周囲、乳輪などにも好発します。多くの場合、その後中心に潰瘍が生じ、硬性下疳と言います。やや遅れて所属リンパ節(例えば鼠径部リンパ節など)が無痛性(有痛性のことも)に腫脹します。これらの一次病変は無治療でも数週間で消退することが多いです。ほっといても消えるため、感染後6週間から6ヶ月で多彩な症状を呈する第2期梅毒になることが多いです。唇に硬いしこりができたとき、ほっとかないで、泌尿器科にかかるのがよいと思います。皆さんもご存じだと思いますが、TBSのテレビドラマ「JIN‐仁‐」では江戸時代にタイムスリップした現代の脳外科医・南方仁(大沢たかお)の活躍を描いています。その中で当時流行した感染症、梅毒の治療も描かれています。


唇が腫れている時の鑑別診断はどうしますか?

発症は急性か否か

再発または持続性か?

唇の腫れは局所的か、それともびまん性か?

その部位に外傷の既往はあるか?

関連する病歴はあるか?

全身性の徴候や症状はあるか?

などをヒントにしていきます。



*血管性浮腫とはどんな病気ですか?

皮膚または粘膜の一部が突然の腫れる病気です。腫れは早ければ数時間から数日かけて治ります。腫れている所を押さえてみたとき、へこんだままにならないのが特徴です。


かゆみがあるタイプ(マスト細胞メディエーター起因性の機序)約7割です。

数分から数時間にわたって出現する傾向があり、半日以内に消えます。急性アレルギー反応の症状(かゆみ、じんましん、紅潮、喘鳴、アナフィラキシーショックなど)を伴うことがあります。むくみは、顔、くちびるに起こりやすいです。抗ヒスタミン剤などの一般的なじんましんの治療が効きます。

かゆみがないタイプ(ブラジキニン起因性の機序):遺伝性と遺伝性でないものの2種類があります。

数時間から数日にわたって出現する傾向があります。高血圧の薬(ACE阻害薬)では2日で、遺伝性のものでは5日程度で消えます。突っ張るような痛みが主体です。かゆみ、じんましんは伴いません。むくみは、顔、くちびる以外に、陰部、手足に生じることもあります。また舌、喉頭、消化管の粘膜にのみ起こることもあります。のどのむくみによる致死的なリスクもあります。抗ヒスタミン剤は無効です。

遺伝性でないものーーーACE阻害薬によるもの、骨髄増殖性疾患によるものなどがあります。

遺伝性血管性浮腫:上記1)3


*固定薬疹とはどんな病気ですか?

特定の薬剤(解熱鎮痛剤、抗菌薬など)を内服した後、数時間以内に毎回同じ部位に繰り返して発疹が生じる場合、固定薬疹を考えます。例えば風邪、頭痛、生理痛などで薬を服用する度、かゆいような、ピリピリとした痛みを伴い、赤いはんてんから、水ぶくれになり、治っても色素沈着が残る場合です。皮膚粘膜移行部や四肢に良くできます。また多発することもあるので、他の部位に発疹が出ていないか確認します。通常唇にピリピリとした痛みを伴う発疹ができたときは、口唇ヘルペス(体調が悪いときに出現するので、そのような時は薬を飲むこともあります)を考える事が多いですが、何か薬を飲んでいたときは、固定薬疹も考えます。

 

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