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手が荒れています(手湿疹)

更新日:9月25日

Ⅰ)手荒れの原因は何でしょう?どのような職業に多いでしょうか?

水仕事や化学物質への曝露を伴う産業で特に一般的です。これは主に 刺激物との接触によるものですが、特定の接触アレルギーが寄与する可能性があります 。


1)皮膚バリヤ機能の低下(皮膚表面脂質の喪失により物理的刺激に対する抵抗力が低下)

手や指では皮脂を分泌する皮脂腺が少なく、そのため皮脂膜も薄くなっています。その代わり角質層が厚くなっていて、保護する役目を果たしています。刺激物には、水、洗剤、溶剤、酸、アルカリ、寒さ、熱、摩擦などがあります。これらは外側の角質層を損傷し、脂質を除去し、皮膚のバリア機能を乱す可能性があります。例えば度重なる水仕事などはさまざまな摩擦や刺激によって厚い角質層もバリア機能が低下してしまいます。さらに指先に摩擦刺激が加わると、厚い角質層は弾力性を失い、ひび割れてしまいます。

手洗いが頻回で、ぬれたままになりやすい、長い時間手袋をつけていて汗をかいたまま作業をすることが多いことで起こります。最近ではアルコール消毒が増悪させます。

職業:主婦、医療従事者、飲食業、理美容業、清掃業など

素因:アトピー性皮膚炎、乾燥肌


2)かぶれ(接触アレルギー)

ハンドクリーム、整髪料、ボディクリーム、シャンプー、石けん、化粧品、植物(アロエ、山芋、キウイなど)、接着剤、、金属アレルギー(ニッケル、クロムなど)など

医療従事者:ゴム手袋、消毒、手洗い洗剤など

理美容業:染毛剤、シャンプー、整髪料、ゴム手袋、ハンドクリームなど

生花業、冠婚葬祭業:草花など

農業:野菜、花、肥料、手袋など

飲食業:野菜、小麦など

金属加工業:メッキ液中の金属、切削油など

主婦:野菜、小麦、洗剤など


原因は一つとは限らないで複数のものが関与していることがまれではないです。


Ⅱ)手荒れの症状はどういうものになりますか?


主に利き手の親指、人差し指を中心に指先に軽い角化(皮膚が厚く硬くなること)、乾燥、指紋が消えたりします。乾燥、角化がほとんど全部の指に広がり、手の甲、ひらにひろがり、また両手にひろがります。赤み、腫れ、ブツブツ、水ぶくれ、かゆみ、かき壊しのあと、じくじく、ガサガサ、皮むけ、ひび割れ、あかぎれなどの症状になります。ひび割れなど傷が深くなると痛みを感じることもあり、細菌感染を引き起こすこともあります。



Ⅲ)手荒れの治療はどうするのですか?

1)手荒れの原因を取り除くようにします。


洗剤や化学物質などが直接手につかないように工夫してください。

家事や水仕事の際は手袋を使用してください。ゴム手袋などにアレルギーがある人は、綿手袋をした上でポリエステル制の手袋などを使用してください。長時間使用するときは綿手袋を乾燥したものに取り替えてください。

消毒液は必要最小限にしてください。

ハンドソープは低刺激のもの、無添加のものもを使用してください。


2)どのような原因であれ、保湿を心がけます(皮膚バリヤ機能の低下を避けます)。


症状が強いときは、痛み、かゆみがあるときは、外用のステロイド剤を使用します。

ワセリン、ヘパリン類似物質含有クリーム、尿素軟膏など保湿効果の高い薬をこまめに塗布します。尿素軟膏は傷口にしみることがあります。ひび割れ、アカギレがあるときは使用しません。

かゆみが強いときは、抗アレルギー剤の内服など。感染症が起きたときは、抗菌薬の外用、内服など。


Ⅳ)手荒れにはどのような病気がありますか?


1)主婦湿疹:家事(炊事、洗濯など水仕事が多い)に従事する主婦などに起きる湿疹です。

2)進行性指掌角皮症:指先に物理的刺激が絶えず加わっている人に良く見られます。ピアニスト、バイオリニスト、紙幣を触る銀行員、水仕事が多い主婦、美容師などに起きやすいです。特にアトピー性皮膚炎の素因(皮膚のバリヤ機能が弱い)がある人に起こりやすいです。主に利き手の親指、人差し指を中心に指先の内側、指の指紋のある部分から始まり次第に手のひらに広がります。かたくなったり、指紋が消失したり、乾燥、ひび割れができたりします。利き手からはじまり、次第に両手が侵されます。冬に増悪します。



3)接触性皮膚炎:かぶれです。刺激性とアレルギー性があります。刺激性は刺激を起こす化学物質(ハンドソープなど)が濃い濃度で皮膚につくと誰でも起こります。アレルギー性は接触により皮膚に浸入した特定の物質がアレルギーを起こすものです。手袋、食材(ギンナン、レタス、マンゴーなど)、植物(ウルシ、サクラソウ、キク、ユリなど)、染毛剤(パラフェニレンジアミンなど)、エポキシ樹脂、切削油などがアレルギーを起こします。


4)異汗性湿疹(汗疱[かんぽう]):手のひら、足の裏や指腹や指の側縁、指背に両側性、対称性に小さな水ぶくれが多発して、かゆみを伴います。かき壊すと炎症が生じ、赤くなり、治りにくくなります。初夏に多く、1ヶ月程度で自然軽快しますが、年ごとに繰り返します。汗をかくと悪くなりやすいです。約半数にアトピー性皮膚炎の素因があります。角質層が厚く、汗腺の多い手のひら、足の裏にできやすいです。ニッケルアレルギー、ストレス、薬剤、日光などの関与が報告されています。


Ⅴ)手荒れとの鑑別が必要な病気


1)掌蹠膿疱症:小さな水ぶくれではじまり、徐々にまわりに赤みを伴った無菌性膿疱が出現し、赤いはんてんりんせつも出現します。年余にわたりこの症状を繰り返し、かゆみや痛みを伴うこともあります。足の土ふまずやかかとの外側縁にも同じ発疹を生じることが多くあります。すねや膝にもかさかさした赤いはんてんが時に認められます。長期にわたると爪の変形や変色が出現することもあります。10~30%に胸骨や鎖骨の関節痛を伴うことがあります。脊椎に関節炎を併発することもあります。原因は不明ですが、金属アレルギーや扁桃腺・鼻・歯・耳などへの細菌感染が関与していることがあります。


*無菌性膿疱とは感染以外の原因で皮膚に膿がたまった状態です。

*りんせつとは皮が剥けてカサカサした状態です。 細かいものや大きなものがあります。


2)手の水虫:手のひらの皮膚が厚くなり、りんせつがみられます。かゆみはないか、あっても強くないのが特徴です。仕事で水を長時間使う人に多くみられます。手の水虫がある人は、足や爪にも水虫があります。


3)カンジダ性指趾間びらん症:カンジダ(カビの一種)により起こります。指の間の皮膚がはがれ、ただれたようになり、赤みを伴います。びらん面の中心部は白くふやけます。辺縁にりんせつを認めることもあります。水仕事の多い人に多く見られます。


4)皮膚筋炎、全身性エリテマトーデスなどの膠原病でも、その部分症状として手の変化が認められます。


5)寒いときに起こりやすい、しもやけも注意が必要です。







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