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陽に当たると悪くなるのはなぜ?

更新日:7月3日

物事にはすべて光と影があります。

明暗と言い換えてもいいでしょう。

例えばどんな名画も、光だけで描かれているものはない。

影があればこそ光も活きてくる。

影がなければ絵にはならないのです。  曽野綾子(その・あやこ)『PHP』2004年2月号


ビタミンD生成

皮膚が日光(紫外線B波)を浴びると、皮膚に存在する7-デヒドロコレステロールという物質を材料にしてビタミンDが生成されます。カルシウムの吸収や筋肉の合成を促したり、免疫の機能を調整・維持してくれます。ビタミンDが不足すると、低カルシウム血症、骨軟化症、クル病などにかかるリスクがあります。


皮膚の老化

ただ日光に当たると皮膚の老化が早まると言われています。長期的に日光にさらされることで生じる皮膚の障害は光老化として知られています。皮膚にしわ、しみ、たるみなどが起きます。また日光を浴びることが多いほど、 前がん病変(癌になる手前の状態を指します)や 皮膚がん有棘細胞がん基底細胞がん、悪性 黒色腫など)が発生するリスクが高まります。


紫外線の影響

日光に含まれる紫外線(UV)は、その波長によって紫外線A波(UVA)、紫外線B波、(UVB)、紫外線C波(UVC)の3種類に分類されています。皮膚の早期老化などの悪影響もあります。紫外線(全種類)はDNA(デオキシリボ核酸)の損傷を引き起こし、最終的にがんの発生をもたらすことがあります。


露光部位

日光が当たる部位(顔、耳、首、腕、脚、手、足など)の皮膚に変化があるときは、光の関与を疑います。露出部位でもあるため、かぶれなども考えなくてはいけません。


光線過敏症

日光にさらされた部分の皮膚にかゆみを伴い、赤くなったり、ブツブツができた場合、光線過敏症(日光アレルギー)を考えます。可視光線(目に見える光)によっても光線過敏症は起きることもあります。


どのような病気がありますか?

光線過敏反応には、内因性(特定の遺伝子疾患や代謝疾患を持つ人が、光線を浴びることで発症します)と言われる先天性の色素性乾皮症、ポルフィリン症、中高年の男性に多い慢性光線過敏性皮膚炎、子供に多く、慢性EBウイルス感染が関与する種痘様水疱症、日光じんま疹、多形日光疹があり、また外因性(食べたり、服用したり、触れたりした薬剤や食品などに含まれる物質が皮膚に運ばれ、そこに光線があたることで物質が変化し、皮膚の炎症を引き起こして起こります)と言われる薬剤性光線過敏症、光接触性皮膚炎があります。


光線過敏症を疑うのは

1)前頚部(V字の領域)、手背、頬、鼻、耳、頚の後ろ(髪でおおわれてないとき)、腕に皮膚炎があるときです。女性は化粧をするので、化粧をしている部位には出ないこともあります。また衣服でおおわれている部位に多数の皮膚炎がある場合は、別の病気も考えます。

2)皮膚炎が左右対称である時。ただ日中に運転をよくする方はその窓側に強く出ます。発疹は全体に均一にベターと赤いか、点状にでる場合も全体的に均一です。ただ光接触性皮膚炎では非対称性に分布します。ーーー接触性皮膚炎ではさまざまな大きさと形の発疹ができます。

3)紫外線が一番強いのは6月です。その前後4月、5月、7月、8月などに多いです。紫外線が多くないときに、光線過敏症が出現した場合、薬、食べ物、膠原病(全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎)、HIV感染症、職業性(使用している化学物質)を鑑別します。

4)幼児期では、先天性の病気(色素性乾皮症、ポルフィリン症)を疑います。10~30才代の女性では多形日光疹、10~20才代では全身性エリテマトーデス、40才以降では、薬(サプリメント、生薬なども含め)、食品によるものと皮膚筋炎を疑います。


診察

薬、職業、趣味、サンスクリーン剤など外用しているものなどを聞きます。病歴:全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎などは日光によって悪化することがあります。出現時の写真も必要です。


予防

紫外線量の多い11~14時の外出を避けます。肌を遮光することが大切です。日傘、帽子、長袖、長ズボンを着用します。サンスクリーン剤、ファンデーション剤を使用します。可視光線が原因のものもあるので注意が必要です。日焼け止めは、紫外線をブロックする働きはあるものの、可視光線を遮ることはできません。薬剤や化学物質は、可能ならば中止します。


検査

光線照射試験など


治療

ステロイド剤の外用、抗ヒスタミン薬の服用


主な光線過敏症の病気


多形日光疹

よくみられる遅延型光過敏反応です。10~20才代の若い女性に多いです。主に20〜40歳の間に現れます。男性より女性に多いです。痒みを伴う赤いはんてんやボツボツ、水ぶくれ、やや盛り上がった水っぽい赤いはんてんなどができます。日光、主に紫外線A波UVA(75〜90%)または紫外線B波UVBのみ、あるいはUVAとUVBの両方によって引き起こされますが、詳細な原因は不明です。春と初夏に発生し、通常は冬に完全に消えます。慢性に経過しますが、次第に軽快する傾向があります。典型的には日光にあたってから数時間から1〜2日以内に発生します。発疹は数日から数週間以内に消えるのが通常です。まれに全身倦怠感、頭痛、発熱、吐き気が発生することがあります。


日光じんましん

春から夏に多いです。光に当たっている最中、または数分後に、光が当たっている部位に限局して痒みを伴う赤いはんてん、盛り上がった赤いはんてんが出現します。まれに、広範囲に皮膚が侵されると、失神、めまい、喘鳴などの全身症状が生じることもあります。じんましんは数時間で、24時間以内にはなくなります。比較的まれなじんましんです。原因は不明です。可視光線、紫外線A波が多いそうです。特定の波長の光線を吸収するクロンモフィアと呼ばれる物質が皮膚内または血清中にあり、光が当たっている部位の皮膚内で光りエネルギーを吸収し、即時型アレルギーを起こすと考えられています。慢性の病態であり、数年にわたって増悪と寛解を繰り返すことがあります。


化学物質による光線過敏症(外因性)


光毒性反応

食べたり触れたりして体内に入り込んだ薬剤や食品などに含まれる物質(光を吸収する化合物)が皮膚に運ばれ、そこに光線があたることで物質が変化し、皮膚の炎症を引き起こします。疼痛および紅斑などが起こります。この反応にはアレルギー反応でないため、事前の日光曝露は必要はありません。誰にでも生じますが、大きな個人差があります。光毒性反応の典型的な原因としては,特定の物質の外用(香水、ライム、セロリ、パセリなど)、または食べたり、薬剤(テトラサイクリン系薬剤、キノロン系薬剤、サイアザイド系薬剤、非ステロイド系抗炎症薬、三環系抗うつ薬、その他)服用などがあります。光毒性反応は露光部以外の皮膚には生じません。


HDさんは2ヶ月前より高血圧に対してミコンビ配合錠APという血圧の薬を服用していました。顔、頚、両手に左右対称に赤くほんてんが出たため、クリニックを受診しました。この配合錠のヒドロクロロチアジドという成分が原因で、光線過敏症を起こしたと言われました。


光アレルギー反応

食べたり触れたりした光を吸収すると薬物または物質がアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の元となり免疫反応を起こします。あらかじめアレルゲンへの曝露が必要です。赤いはんてん、ブツブツ、水ぶくれなどが起きます。原因としては、サンスクリーン剤、アフターシェーブローション、スルホンアミド系薬剤などがあります。光アレルギーは光毒性より頻度は低いです。反応が光が当たっていない場所まで拡大することがあります。


光接触性皮膚炎

外因性物質(外用薬、湿布薬、植物のしるなど)を塗布しただけではなにも起こりませんが、その部分に光や紫外線が当たるとかぶれや炎症が起きます。光が当たった部分のみに症状が発現します。皮膚が赤くなるだけでなく、ブツブツ、かゆみ、水ぶくれなどが起きます。通常の接触性皮膚炎と似ています。左右対称でないことが多いです。


HHさんは、2週間前に右膝の痛みで、モーラステープをはっていました。痛みがなくなり、はらなくなっていましたが、なぜか右膝のとことだけ湿布薬の形をした赤いはんてんが出現してかゆくなりました。クリニックを受診しました。モーラステープに含まれたケトプロフェンによる光接触性皮膚炎と言われました。


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