ラテックス アレルギー、コンドームアレルギー-大和クリニック-木更津市の皮膚科

Eさんは、医療関係の仕事を20年ほど続けていました。その間天然ゴムラテックスで作られた手袋を頻繁に使用してきました。あるとき、性交が終わった後、ペニスが赤く腫れました。次の機会にはコンドームを使用しませんでしたが、その時は何も起きませんでした。次にコンドームを使用したとき、全身にじんましんが出現しました。これはおかしいと思いクリニックにかかり、ラテックスアレルギーと診断されました。キウイフルーツを食べたとき口の中がかゆくなったり、唇が腫れたことがありました。

ラテックスアレルギーとはどういうものですか?

ラテックスアレルギーは、天然ゴムラテックス(ゴムの木を原料とする)によるアレルギー反応(天然ゴムラテックス製品に含まれる可溶性タンパク質に対するⅠ型アレルギー)です。ラテックスアレルギーは、ラテックス製品に繰り返しさらされることで徐々に進行します。タンパク質(アレルゲン)が皮膚に接触したり汗などにより製品から溶け出でたりすることで、皮膚や粘膜に作用し感作(アレルギーの獲得)が成立します。ラテックスアレルゲンが吸着しているパウダーがゴム手袋を外す際に空中に飛散し、パウダーを吸い込むことでも鼻粘膜などからも感作されるともいわれています。天然ゴム製品は、ゴム手袋、カテーテル・絆創膏などの医療用具のほかに、輪ゴム、炊事用手袋、ゴム風船、コンドームなどがあります。なお、コンドームアレルギーの症状の発症は、接触後数分から24〜48時間後までの範囲です。

ラテックスアレルギーの症状にはどのようなものがありますか?

ラテックスアレルギーの最も一般的な症状の1つは、皮膚の表面に現れるラテックスアレルギーの発疹である接触性皮膚炎です。コンドームが接触した性器、性器周辺、他の領域に、赤いかゆみを伴う発疹が見られる場合があります。腫れ、じんましん、隆起も、コンドームに対する局所的なアレルギー反応の兆候である可能性があります。

コンドームに対する全身性アレルギー反応として、ラテックスと接触しなかった部分の赤いかゆみを伴う発疹、じんましんなどがあります。涙目、くしゃみ、鼻水、喉のかゆみ、顔面紅潮などがあります。

まれに、ラテックスコンドームアレルギーがアナフィラキシーにつながることもあります。アナフィラキシーは、気道を収縮させ、舌や喉の腫れを引き起こす生命を脅かす反応です。通常、喘鳴、呼吸困難または嚥下困難、吐き気、嘔吐、下痢、めまい、低血圧、および弱くて速い脈拍などが起こります。

ラテックスフルーツ症候群とはどういうものですか?

ラテックスアレルギーのある人のうち、30~50%の方に、特定の果物にもアレルギーがあるかもしれません。この名前はラテックスフルーツ症候群です。特定の果物にラテックスに類似したタンパク質が含まれているためです。アボカド、キウイフルーツ、クリ、バナナ、トマト、ジャガイモ、ピーマン、パパイヤなどが注意すべきフルーツです。果物を食べた後、速やかに口腔内の違和感、咽頭の違和感、唇の腫れ、口の中のむくみ、かゆみ、鼻づまり、鼻みず、まぶたの腫れ、じんましん、腹痛、下痢などの消化器症状、喘息などが現れます。口腔喉頭症状に限局することが多いですが、アナフィラキシーに至ることもあります。

コンドームでのアレルギー、ラテックス以外の原因にはどのようなものがありますか?

コンドームを使用した後にアレルギー反応を起こした場合は、ラテックスが原因ではない可能性があります。殺精子剤や潤滑剤などの物質で製品をコーティングしているため、それらが原因かもしれません。

ラテックスアレルギーの診察はどうしますか?

職業歴(CDCはアメリカの医療従事者でラテックスアレルギーがあるのは8~12%と推定しています、複数の手術や医療処置を受けた人、清掃業、美容師、ゴム産業の労働者、食品関係者)、アレルギーの有無などを問診します。ラテックスフルーツ症候群(アボガド、キウイ、バナナ、クリなど)を疑わせる食物アレルギー歴がないか確認します。

ラテックスアレルギーの検査はどうしますか? 

プリックテスト、ラテックス抗体の血液検査などを行います。

ラテックスアレルギーの治療はどうしますか?

アレルギーを起こしているときは、それに対する治療を行います。

エピペン(医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤[アドレナリン自己注射薬])を所持しなければいけない人もいます。

ラテックスアレルギーの予防はどうしますか?

反応を引き起こすものへの暴露を避けるべきです。手袋はラテックス以外(天然ゴムのタンパク質が含まれない、ビニールやポリエチレン、ニトリルゴム製の手袋)のものを使用します。一部のコンドームは、ポリウレタンやラムスキンなど、ラテックス以外の素材で作られています。潤滑剤や殺精子剤の成分に敏感な人は、その成分を含まない製品を探す必要があります。

尿閉(尿が膀胱から出なくなった)方に対して、尿道カテーテルを挿入することは良くあります。ラテックスアレルギーやラテックスフルーツ症候群の疑いのある方には、シリコン製の尿道カテーテルを使用します。
天然ゴム製の医療用具については「医薬品等安全性情報No.153」(1999年)により、製品の説明書や容器や包装に、「天然ゴムが使用されていること」と「アレルギーの症状が生じやすいこと」を表示することが義務づけられています.

精液アレルギーとはどういうものですか?

精液中(精子そのものでなく)のタンパク質に対するアレルギー反応です。外陰部痛、膣の掻痒感、性交痛などの局所的反応(非IgE依存性)、じんましん、血管性浮腫、喘息、下痢などの消化器症状、アナフィラキシーなどの全身症状(IgEを介した即時型アレルギー)が起こります。精液への曝露後、数分から1時間程度で発症、24時間以内に改善するとのことです。ただ数日から数週間続くこともあるようです。世界でも100例に満たないまれな病気です。41%の方が初めての性交渉後に発症したとの報告があります。犬の上皮との交差反応が指摘されていますが、まだ不明です。診断は性交渉後の出現、コンドーム使用で防げることから疑われ、精液を用いたプリックテストで検査します。子供を希望される方は、脱感作療法、人工授精、体外受精などが行われるそうです。

TEL:0438-25-2515