粉瘤(ふんりゅう)、(アテローム):ドーム状に盛り上がった所から悪臭がします-大和クリニック-木更津市の皮膚科

AMさんは、常々悪臭のある皮膚の塊を気にしていました。ある日、そこが赤く腫れて強い痛みで出てきました。クリニックで感染性粉瘤と診断されました。

粉瘤 とはどういうものですか?

ほとんどは表皮嚢腫です。外毛根鞘性嚢腫や多発性毛包嚢腫も 粉瘤 の一種です。皮膚科で最もよく見られます。

皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまってできた腫瘍の総称です。たまった角質や皮脂は袋の外には出られず、どんどんたまっていきますので、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。ドーム状に盛り上がった数mm~数cm大の良性の腫瘍です。表面の皮膚は肌色~淡い青色調で、中央に開口部(黒点状のことも)を伴います。特徴的な臭いを伴う粥状物(角化物)が袋の中にあります。

粉瘤 はどこにできやすいですか?

全身どこにでもできますが、顔、首、背中、おしり、陰嚢、性器に良くできます。通常、生後 30 代および 40 代で発生します。幼小児ではまれです。主に男性に多いです。男女比2対1です。思春期前に異常な場所と数で発生する粉瘤は、以下の症候群を疑います。常染色体優性 ガードナー症候群 (家族性腺腫性ポリポーシス) およびゴーリン症候群 (基底細胞母斑症候群) に見られます。毛のない足の裏や手のひらにも表皮嚢腫ができることがあります。これは外傷性表皮嚢腫と呼ばれます。このタイプの表皮嚢腫の発生にはイボウイルスが関与していることがわかっています。中高年の男性の陰嚢にあずきの大きさぐらいの粉瘤が無数にできることがあります。これは多発性陰嚢粉瘤症といい、白く石灰化しやすいといわれています。

粉瘤 は悪性化しますか?

良性腫瘍です。悪性化することはほとんどありません。ただし、まれに悪性腫瘍が発生することがあります。扁平上皮癌 は最も一般的な悪性腫瘍であり、基底細胞癌 がそれに続きます。粉瘤の癌化は中高年齢層の男性のおしりの部分に生じたものに多いといわれています。

粉瘤 はどんな症状がありますか?

通常自覚症状はなく、ゆっくりと大きくなります。粥状物が表面に出てくると悪臭がします。細菌が感染(通常は黄色ブドウ球菌、大腸菌、および A群連鎖球菌による)したりすると、赤く腫れ上がります。また痛みを伴います。

粉瘤 の診断はどうしますか?

ほとんど視診で行います。超音波を用いることもあります。

粉瘤 の治療はどうするのですか?

良性腫瘍なので、気にされる場合以外は経過を見てもいいと思います。

細菌感染し、赤く腫れ上がり、痛みを伴う感染性粉瘤では、抗菌薬が必要です。膿がたまっているものでは、すみやかに切開(表面の皮膚を少し切ること)して、膿みを外に出します。また膿と一緒に内容物をそっと絞り出します。嚢胞が破裂し、内層が破壊された場合、嚢胞は再発しません。ただし、再発を減らすには、嚢胞性内層全体を除去することが重要です。

見た目の問題や臭いの問題など気にかかることがある場合、切除術を行います。最も効果的な治療法は、嚢胞壁を損なわずに嚢胞を完全に外科的に切除することです。急性感染症が存在する場合は、完全な切除を延期する必要があります。

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