ピーナッツアレルギー (マメ目マメ科なのにナッツです)-大和クリニック-木更津市の皮膚科

Gさんはピーナッツアレルギーがあります。

Gさんは子供の頃からピーナッツアレルギーがあります。長年食品中のアレルギー表示を見ながら注意してきたせいか、アレルギーを起こしていません。大人になった今、現在血液中の特異的IgE(Ara h 2)(ピーナッツ由来)は、陰性です。ピーナッツアレルギーは、少量のピーナッツでさえ、生命を脅かす(アナフィラキシー)深刻な反応を引き起こすかもという言葉が忘れられず、いまだ、口にすることはしていません。いつか食べてみたいと考えていますが。

ピーナッツアレルギーの症状はどのようなものですか?

じんましん、発赤、腫れなどの皮膚反応、口や喉の中や周りのかゆみやうずき、下痢、胃けいれん、吐き気、嘔吐などの胃腸症状、喉の腫れ、息切れまたは喘鳴、鼻水が出るなどです。ひどくなるとアナフィラキシー(食物誘発性アナフィラキシーの最も一般的な原因の一つ)が起こります。

*アナフィラキシーとはアレルギーの原因物質に触れる、食べる(飲む)、吸い込むことで極めて短い時間のうちに全身にあらわれるアレルギー症状です。生命を脅かす反応です。

原因食物別ショック発生率:ピーナッツは5位15.4%です。ピーナッツは他の食品よりも少量で致命的な反応を起こすとされています。(ピーナッツ1g、その他の食持10g)

ピーナッツアレルギーを持っている人はどのくらいいますか?

ピーナッツアレルギーは子供たちで増加しています。2017年のアメリカの調査によると、子供のピーナッツアレルギーは2010年以降21%増加しており、アメリカの子供たちの2.5%近くがピーナッツアレルギーを持っている可能性があるとのことです。日本では即時型食物アレルギーの3%前後で8位のランクです。ピーナッツアレルギーは栄養失調を緩和するためにピーナッツ製品が使用されてきた発展途上国の子供たちにはまれです。そばアレルギーと同様に、微量でもアナフィラキシーを引き起こしやすいので、注意が必要です。ピーナッツはマメ科植物(大豆などと同じ)であり、木の実ではありません。

小さい頃にピーナッツを食べると

ピーナッツアレルギーの家族歴のある乳児では、生後4〜11か月でピーナッツタンパク質を摂取すると、アレルギー反応を発症するリスクが11〜25%低下することが示されています。2015年イギリスでの報告によると、生後4~10か月からすこしずつピーナッツを定期的に食べさせたほうが、5歳になったときのアレルギー発症リスクが80%以上も減ったとのことです。ピーナッツアレルギーのある人の最大20%が最終的には耐性を獲得(自然に治癒)するという報告があります。

ピーナッツと木の実、似ていることはどんな点ですか?

殻が硬く、形や味、栄養成分が木の実に似ているため、“ナッツ類”として取り扱われることが多いです。マメ科植物と木の実は類似したタンパク質を持っているため、ピーナッツにアレルギーのある人は、ピーカン、ピスタチオ、クルミなどの木の実にもアレルギーがある可能性があります。当然ピーナッツアレルギーのある人は大豆やエンドウなど同じマメ科のアレルギーも持っている可能性があるため、注意が必要です。

予防するために気をつけることにはどういうことがありますか?

ピーナッツアレルギーの人は、以下の食品を避ける必要があります。

ピーナツ(落花生)、ピーナツバター、ピーナツ粉、ミックスナッツ、ピーナツ入りの(お菓子、チョコレート、クラッカー、アイスクリーム)など

ピーナッツが一般的に使用されるアジア料理とメキシコ料理、エスニック料理など

ピーナッツは特定原材料7品目の一つです。特定原材料7品目とは容器包装された加工食品で表示が義務づけられているアレルギー物質で、卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目です。 

またピーナツが直接皮膚に触れたり、ピーナッツ含有スキンケア製品を使用したり、ピーナッツの加工品の粉末、例えばピーナッツ粉や、ピーナッツを含むほこりやエアロゾルを吸入するとアレルギーが起こるとされています。ピーナッツはカレールーやチョコレートなどの菓子類、ドレッシングなどに使用されている場合もあります。外見だけでは使用の有無を判断するのは困難です。

ピーナッツを成分として含まない食品も、製造工程または食品の調理中にピーナッツによって汚染される可能性があります。その 結果、それらの製品などがアレルギーを起こすかもしれません。

ピーナッツは高熱処理することでアレルゲン(アレルギー反応の誘因となる物質のこと)が強まります。

キウイ、リンゴ、柑橘類が含まれるジュースやドレッシングで、交差性によるアレルギーの可能性があり、注意が必要です。*交差反応とは、抗体がつくられる元となった抗原とは別の類似の抗原にも結合することを言います。

花粉食物アレルギー症候群とはどういうものですか?

花粉症の人が野菜や果物を食べた後、その直後から数分以内に口腔、咽頭、口唇粘膜の刺激感、かゆみなどが誘発されるもので、多くの症状は口腔内に限局し自然に良くなります。嘔気、下痢、腹痛などの胃腸症状、鼻水、眼の痒みなどの花粉症の症状を呈することもあり、まれに喉の腫れ、息切れ、蕁麻疹、アナフィラキシーショックなど重篤な全身症状を呈することがあります。

ピーナッツの場合、引き起こしうる原因として最も頻度の高いものはカバノキ科の樹木花粉で、ハンノキやシラカンバなどです。カバノキ科花粉はスギ、ヒノキと同時期に飛散します。カバノキ科花粉では桃などバラ科果実にも反応がでることもあります。

ピーナツアレルギーの診断はどうしますか?

食事日記を毎日書きます。(スマホのアプリもあります)

皮膚プリックテスト:少量の食べ物を皮膚につけ、針で刺します。特定の物質にアレルギーがある場合、皮膚に反応が起きます。

血液検査:免疫グロブリンE(IgE)抗体と呼ばれる、血流中のアレルギー型抗体の量をチェックすることで、特定の食品に対する免疫系の反応を測定できます。Ara h2の診能力は高く、高値(スコア4以上)ならピーナッツアレルギーと診断します。

負荷試験:ピーナッツへの感作に加えて、明らかな即時型アレルギーの既往または経口食品チャレンジテスト(負荷試験)による症状誘発で診断します。負荷試験は深刻なアレルギー反応を引き起こすかなりのリスクを伴います。Ara h2 低値または陰性で特異的IgE(ピーナッツ)陽性なら負荷試験で確認します。

ピーナツアレルギーの治療はどうしますか?

・抗アレルギー薬

・気管拡張薬

・ステロイド薬などの内服、吸入、注射をします。

アナフィラキシーの恐れのある方にはエピペンを常に携行してもらいます。

・アドレナリン自己注射製剤(エピペン®):アナフィラキシーが出現した場合アドレナリンを注射します。アナフィラキシーが起きたことがある患者様は、日常生活でアナフィラキシー反応が生じたときに自分で治療薬(アドレナリン)を注射するために、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けることが望ましいです。

*アナフィラキシーの症状が落ち着いた後、数時間してからアレルゲンへの接触なしに再度2回目のアナフィラキシー症状を呈することがあり、これを二相性アナフィラキシー反応と呼んでいます。アメリカでの2015年の調査で、病院の救急治療室でピーナッツアレルギーの治療を受けた人の2%が、この二相性反応(2番目の遅い反応)を示しました。その遅延反応は、人々が最初に治療されてから平均して15時間後に起こりました。別の研究によると、子供たちの約15%が、最初の反応から数時間後に2回目の重度のアレルギー反応を起こしました。

TEL:0438-25-2515