IgA血管炎 (血管性紫斑病、ヘノッホ=シェーンライン紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病ともいいます)-大和クリニック-木更津市の内科

IgA血管炎 とはどういうものですか?

免疫グロブリンA抗体(IgA抗体)が関与して生じる免疫複合体性小型血管炎です。“IgA”と呼ばれる抗体がさまざまな臓器の小さな血管壁に沈着して血管に炎症反応を起こします。特に皮膚、関節、腸、腎臓の小さな血管が炎症を起こし、出血する疾患です。下肢の触知可能紫斑が特徴的です。典型的には下肢および臀部にある紫がかった発疹です。

*免疫グロブリンA(immunoglobulin A:IgA)とはB細胞が産生する抗体の一種です。IgAは主に腸管などの粘膜免疫系で産生されます。粘膜上のさまざまな抗原の侵襲に対する防御機能をもつことが知られています。

IgA血管炎 の原因は何ですか?

正確な原因は不明です。多くの場合、上気道感染症が先行し、家族内でクラスター化することがわかっています。小児では溶連菌感染(約30~50%)、ウイルス感染後に発病することが多いです。IgA血管炎を引き起こす原因として、細菌やウイルス、リケッチアによる感染、薬剤(ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、クラリスロマイシン、および非ステロイド性抗炎症薬)、悪性腫瘍、食物が想定されています。これらがIgA抗体と結合する抗原になると考えられています。小児の発生率が最も高いのは、秋から冬にかけてです。

IgA血管炎 の頻度はどの位ですか?

英国での発生率は、年間約 20/100000 人の子供 (17 歳未満) です。成人の患者数は小児の5分の1〜10分の1とされています。

IgA血管炎 はどの年齢に多いですか?

75% は 10 歳未満の子供に発生します。成人の頻度は子供より低いですが、再発率が高く、時に重篤な腎障害が見られます。

IgA血管炎 の症状はどういうものですか?

下肢を中心に左右対称に軽度に盛り上がった、圧痛を伴うアザのような赤紫色の斑点が出現します。一般的な部位は、下肢、臀部、肘、および膝です。腕、顔、体幹にも現れることがあり、靴下のラインやウエストラインなどの圧力のかかる部分で悪化することがあります。全身化することさえあります。最初は点状紫斑ですが、次第に触知可能紫斑になり、両者が混在するようになります。圧迫を伴う部位では融合します。成人では患部に水ぶくれや血ぶくれやびらん、潰瘍ができることがあります。60~70%に関節炎、関節痛(運動時に痛みの増強が見られることもありますが、日常生活に支障を来すほど重症化することはまれです。関節痛は、典型的な発疹よりも 1 ~ 2 週間先行することがあります。)、50〜65%に消化器症状(軽度の嘔気、嘔吐、腹痛といった症状であることが多いです。しかしながら、強い腹痛や下血を来すこともあります。腹痛は半分から 4 分の 3 に見られ、最大 3 分の 1 では発疹に先行します。腹痛は、下痢や腸からの出血に関連している可能性があります)、20~55%に尿検査異常・腎症(通常、他の症状の発症後、数日から 1 か月以内に発生します。約 10% は来院時に深刻な腎臓の問題を抱えており、15% は尿検査にわずかな異常が残り、1 ~ 5%は末期の腎不全に長期的に進行します)の4症状が順不同に、様々な程度で出現します。まれではありますが一過性の肝腫大、筋肉内出血、痙攣発作などの神経症状、視神経炎などの眼症状、陰嚢内出血、精巣捻転、呼吸器症状、心筋梗塞などを合併したという報告もあります。

IgA血管炎 の診断、検査はどうしますか?

古典的な発疹、関節痛、消化管の症状がある場合、IgA血管炎と診断することができます。血液検査で白血球増多、CRP上昇、補体上昇などが認められます。尿検査では腎障害の程度を確認します。皮膚生検することもあります。腹痛がある場合は、腹部エコー、CTや下部内視鏡検査を施行することもあります。

IgA血管炎 の治療はどうするのですか?

ほとんどの場合、特別な治療は必要なく、発疹は 1 週間で消えます。小児の場合、腎症以外の症状は1ヵ月以内に寛解(完治ではないが、病状がおさまること)することが多いです。最大 3 分の 1 で、次の 6 ~ 16 週間にわたって再発性病変が発生しますが、発症時よりも軽度であるとされています。5 から 10% は持続性疾患を持っている可能性があります。

薬物治療では、トラネキサム酸やカルバゾクロムなどの止血作用、循環改善作用のある薬剤を使用されることが多いです。ジアミノジフェニルスルホンやコルヒチン(保険適応外)、短期の副腎皮質ステロイドの投与を考慮することもあります。上気道の感染が見られる場合は抗菌薬の投与を行います。

IgA血管炎 に似ている病気とはどういうものですか?

血小板減少性紫斑、単純性紫斑、IgA血管炎と同じレベルの皮膚小血管を傷害する以下の3つの病気:皮膚白血球破砕性血管炎、ANCA関連血管炎、クリオグロブリン血症性紫斑

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