急性単純性膀胱炎(きゅうせいたんじゅんせいぼうこうえん)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科

急性単純性膀胱炎とはどういうものですか?

膀胱炎とは、下部尿路、膀胱の感染症を指します。膀胱粘膜に炎症を生じ、膀胱刺激症状を来す病気の総称です。 それは単純なものと複雑なものに大別できます。 単純性膀胱炎とは、泌尿器科的異常や併存疾患のない健康な男性または妊娠していない女性における下部尿路感染症を指します。膀胱炎は通常、糞便または膣の細菌叢からの細菌による尿道周囲粘膜の定着およびそのような病原体の膀胱への上昇によって発症します。 急性膀胱炎は通常、膀胱の細菌感染によって引き起こされます。 女性は直腸が尿道口に近いことと、尿道の長さが比較的短いため(2~3cm)、特に影響を受けやすくなります。男性の場合は尿道が長いため、尿道炎を起こしやすいです。

急性単純性膀胱炎の原因は何ですか?

尿路感染症の多くが,直腸常在菌による上行性尿路感染です。急性単純性膀胱炎の分離菌は大腸菌が約70%,その他Proteus mirabilisやKlebsiella属などを含めグラム陰性桿菌が約80~85%を占める.グラム陽性球菌は約15~20%に検出され,Staphylococcus属,Streptococcus属,Enterococcus属などが分離されます。Staphylococcus saprophyticus(8%程度)はSexual Activityが高い女性の単純性尿路感染として大腸菌に次ぐ頻度を持ちます。急性単純性膀胱炎から分離される大腸菌の7-15%がキノロン耐性ですが、閉経前の女性では耐性率は7-10%程度で、閉経後の患者では約20%です。ESBL産生菌は我が国では4-10%で検出される

急性単純性膀胱炎の症状はどういうものですか?

排尿痛、頻尿、尿意切迫感といった膀胱刺激症状です。肉眼的血尿を来すこともあります。下腹部痛、下腹部違和感、排尿時の違和感、恥骨上の圧痛などがあります。通常発熱はありません。

急性単純性膀胱炎を起こしやすいのはどういう人ですか?

性交渉により外尿道口周囲の細菌は膀胱内に逆流します。逆流しても必ずしも膀胱炎を発症しません。

排尿を我慢する傾向の方は、膀胱内で細菌が増殖する時間が増えるため起こしやすいと言われています。

糖尿病女性における無症候性細菌尿の推定有病率は 26% であるのに対し、非糖尿病女性では 6% です。そのため急性膀胱炎を発症するリスクは高くなります。

急性単純性膀胱炎の頻度はどのくらいですか?

女性の約 3 分の 1 が 24 歳までに、約 2 分の 1 が 32 歳までに 尿路感染症を経験します。自己申告の年間発生率に基づくと、女性の 尿路感染症の発生率は 12% です。

男性における単純性膀胱炎の発生率は比較的低いです。 65歳未満の男性10,000人当たりの年間症例数は10件未満と推定されています。

急性単純性膀胱炎の診断はどうしますか?

膿尿、細菌尿の有無を検尿で調べます。その際、尿を採取するときは、一般的には中間尿で採取します。

細菌がある場合は、尿培養を行います。また薬剤感受性検査を行います。

細菌が十分あり、膀胱刺激症状などの所見があれば、治療対象の膀胱炎と見なします。

他の病気も疑われる場合は、超音波検査、膀胱鏡、レントゲン検査、CTなども行います。

急性単純性膀胱炎の治療はどうしますか? 

細菌に対応して、抗菌薬を選択します。

JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症によると以下の通りです。ガイトラインの概要にかかれていないことも記入しています。

閉経前の女性における急性膀胱炎の分離菌としては、グラム陽性球菌(Staphylococcus saprophyticusなど)の分離頻度が比較的高く,Escherichia coliはβ―ラクタマーゼ阻害剤(BLI:β-lactamase‌inhibitor)配合ペニシリン系薬,セフェム系薬,キノロン系薬いずれも90%以上の感受性が認められます。そのため,原因菌が不明の場合またはグラム陽性球菌が確認されている場合には,キノロン系薬を第一選択としてもよいが、尿検査でグラム陰性桿菌が確認されている場合にはセフェム系薬またはBLI配合ペニシリン系薬を推奨するとしています。

閉経後の女性における急性膀胱炎の分離菌としては、グラム陽性球菌の分離頻度が低く、E. coliはキノロン耐性率が高いです。そのため、第一選択としてはセフェム系薬またはBLI配合ペニシリン系薬が推奨されています。グラム陽性球菌が確認されている場合にはキノロン系薬を選択します。

ESBL産生菌に対して,経口抗菌薬としてはファロペネム、ホスホマイシンなどが有効です。注射薬のアミノグルコシド系薬も有効です。βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬またはカルバペネム系の注射薬などです。

急性単純性膀胱炎と似ている病気は何ですか?

膣炎、尿道炎、前立腺炎、腎盂腎炎、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群、性器ヘルペス、性器カンジダ症などです。

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