複雑性膀胱炎 -大和クリニック-木更津市の泌尿器科

複雑性膀胱炎 とはどういうものですか?

複雑性膀胱炎は複雑性尿路感染症の一部分症です。複雑性尿路感染症とは、解剖学的、機能的尿路異常(尿流の障害が起こる)、及び代謝的、免疫学的異常で、感染防御機能が低下している場合に起こるものです。

尿流の障害が起こる病気

前立腺肥大症、神経因性膀胱、膀胱癌などの頻度が高いです。その他前立腺がん、尿路結石、尿道狭窄症、膀胱尿管逆流、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群などがあります。尿道留置カテーテル、ステント留置などの人工物がある場合や尿路の手術を受けた後などがあります。子供の場合は尿路の先天的異常が多いです。

感染防御機能が低下している病気

糖尿病、抗がん剤、ステロイド投与中、妊娠、移植後などがあります。

複雑性膀胱炎 の原因は何ですか?

複雑性膀胱炎の原因菌は、グラム陰性桿菌:E. coli、Klebsiella 属、Citrobacter 属、Enterobacter 属、Serratia 属、Proteus 属、Pseudomonas aeruginosa など、グラム陽性球菌:Enterococcus 属、Staphylococcus 属など多岐にわたります。過去の頻回の抗菌薬治療により各種抗菌薬に耐性を示す菌が分離されることが多く、キノロン耐性菌,ESBL 産生菌、メタロ―β―ラクタマーゼ産生菌,耐性黄色ブドウ球菌 などの存在に注意が必要です。

単純性に比べ、大腸菌の割合が減り、他の菌の割合が増えています。

カテーテル関連尿路感染症を引き起こす最も一般的な微生物には、大腸菌(24%)、カンジダまたは酵母菌(24%)、腸球菌(14%)、シュードモナス属(10%)、およびクレブシエラ属(10%)が含まれる。カテーテル関連尿路感染症の多くにバイオフィルムが関与しています。バイオフィルムは、身体の構造、石、または異物に対する保護と付着の両方のために独自のポリマーマトリックスを作成した、カプセル化された構造化された微生物のコロニーです。また、バイオフィルムにより、比較的毒性の低いさまざまな病原体が重篤な、場合によっては生命を脅かす感染症を引き起こす可能性があります。無症候性細菌尿の過剰治療を避けなくてはいけません。

複雑性尿路感染症 の頻度はどの程度ですか?

米国では、複雑性尿路感染症で年間 626,000 人以上が入院しており、年間入院全体の約 1.8% を占め、そのうち 80% はカテーテル関連以外のものです。

複雑性膀胱炎 の症状は何ですか?

通常、軽度の頻尿、下部不快感などがあります。増悪時に排尿痛、頻尿、残尿感、尿混濁を呈し、発熱はありません。

複雑性膀胱炎 の診断はどうしますか?

急性単純性膀胱炎の通常の治療を行っても改善しない場合、複数回の尿路感染症の既往のある再発例、大腸菌以外の原因菌が分離された場合、耐性菌が分離された場合などは、基礎疾患を考慮します。

検尿、尿培養、感受性検査などを行います。また下記の基礎疾患が疑われる場合、超音波検査、CT、採血なども行います。

尿路感染症 は、病院における敗血症の最も一般的な原因の 1 つです。 複雑性尿路感染症は、致死的な可能性のある敗血症を引き起こす可能性があります。この場合、血液培養なども行います。

複雑性膀胱炎 の治療はどうしますか?

抗生物質の選択は常に、地域の細菌耐性パターンとガイドラインに従って行う必要があります。過去の原因微生物検出歴を参考に経験的治療を開始します。薬剤感受性検査の結果が分かりましたら、それに従って抗菌薬を選択します。

膿瘍などが見つかった場合、排膿のため処置が必要です。また留置カテーテルなどの人工物も交換したり他の方法に変更する必要があるかもしれません。カテーテルを挿入されている方は、定着およびバイオフィルムの発達により細菌尿を患っていることが予想されます。 細菌の定着率は、カテーテル挿入日あたり約 3% ~ 10% です。 これは、最初の 30 日後に細菌が 100% 定着したことになります。

基礎疾患の治療も行う必要があるかもしれません。

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